小学生となった現在の我が子は、自分から自信を持って人と話すことができる様になりました。そんな我が子ですが、親である私は「この子は場面緘黙なんじゃないか・・・」そう考えた時期がありました。
今回の記事では、「場面緘黙」についての説明、私が我が子を場面緘黙ではないかと感じた理由、場面緘黙だった同級生の話をしたいと思います。
この記事を読んで「場面緘黙」という障害について知っていただけたらと思います。

場面緘黙(ばめんかんもく)とは?

場面緘黙ってなに?
場面緘黙(場面緘黙症)とは、人見知りや恥ずかしがり屋とは違い、特定の状況や場所で話すことができなくなる不安障害の一種です。例えると、家では普通に話せるのに、学校や公共の場では沈黙してしまう人達が該当します。大人になってから発症する人もいますが、子ども時代に発症するケースが多いと言われています。

人見知りや恥ずかしがり屋とはどこが違うの?
人見知り・恥ずかしがり屋
特徴:見慣れない人に対して不安を感じたり、恥ずかしがったりすること
- 一時的な反応:新しい場所や知らない人に対して一時的に緊張したり、恥ずかしがったりする。
- 慣れると話す:時間が経ち、その環境や人に慣れると、普通に話し始めることが多い。
- 選択的ではない:特定の場所や状況でのみ話せなくなるわけではなく、一般的な緊張や恥ずかしさの表れ。
例:初めての場面や見知らぬ人に対して、一時的に恥ずかしがって黙り込むが、徐々に話すようになる
場面緘黙(Selective Mutism)
特徴:「話したい、意見を言いたい、話さなきゃ」と本人が思っていたとしても、話せないという疾患です。
- 持続的な反応:特定の状況や場所で、長期間にわたり話せない状態が続く。
- 選択的な沈黙:家庭など特定の安心できる環境では普通に話せるが、学校や公共の場では一切話せなくなる。
- 不安障害の一種:不安や恐怖によって引き起こされるものと考えれれていて、単なる恥ずかしさや一時的な人見知りとは異なる。
例:家では活発に話すが、学校では全く話さず、授業中や友達との会話でも一切声を出さない子供。長期間にわたってこの状態が続き、改善が見られない場合。
このように、場面緘黙は単なる人見知りや恥ずかしがり屋とは異なり、専門的な支援が必要な状態です。
※場面緘黙の原因や発症メカニズムは、まだ研究段階で、正確なことは分かっていません。
我が子が場面緘黙ではないかと感じた理由
我が子は家では活発に話すのに、園や他の人の前ではまったく話さず固まってしまうことが頻繁にありました。色々と検索して出てきたのが「場面緘黙症」私は彼女が場面緘黙ではないかと疑い始めました。
家族である私達の前では話すのに、ほぼ毎週会っている祖父母の前でも声も出さず、児童館や園で会うお友達とも、無言で遊ぶ姿が多かったです。年少から年中頃には先生から「声を聞いたことがない」とも言われたことがありました。当時の園生活は、返事は聞こえるか聞こえないかのカスカスの空気音?と、無言のうなづきで過ごしていました。そして、極度の緊張からか固まってしまう姿も多く見られ、先生からもよく聞かれていました。
この頃の私は、我が子が「出来ない」ので、あえて先回りして「うちの子、恥ずかしがりなんで」と言ったり、そして「言ってごらん、なんで出来ないの?」などと言ってしまうこともありました。
そんな中、ふと私の小学生からの友人の事を思い出しました。
「あの子は場面緘黙症だった?」体験談

その子の名前は「Bちゃん」。Bちゃんは私と小学校から一緒だった近所の子です。
Bちゃんには姉妹がいましたが、話さないのはBちゃんだけで、他の姉妹は話していました。
当時、話さないBちゃんに対して先生などから特別な対応はありませんでしたし、「ことばの教室」にも通っていなかった気がします。かれこれ40年近く前、「大人しい性格の子」で認識していたのだと思います。
私がBちゃんの声を聞いたのは、小学校や中学校時代に先生に指名されたときや発表会の時ぐらいでした。Bちゃんはいつも誰かと一緒にいましたし、私も下校時に一緒になることがありました。しかし、Bちゃんが誰かと会話をしている姿を見たことはほとんどありませんでした。
いま思うと、あの頃のBちゃんは「場面緘黙」だったのではないかと感じました。当時は「なんで喋らないんだろう」と不思議に思いつつ、「まぁ別にいいか」と深く考えていませんでした。しかし、Bちゃんが喋らないことで、クラスの男の子たちが揶揄うこともありました。幸いなことと言っていいのか分かりませんが、それらは低学年の頃に数回だけだった気がします。
私の記憶では、Bちゃんは中学時代も話すことはありませんでした。しかし特に揶揄われていたりする場面は見かけませんでしたし、スポーツ部に入って活発な姿の印象が残っています。
ちなみに、Bちゃんは高校入学を機に人と話すようになり、20代で結婚して今は3人の子の母親です。彼女の成長と変化を見ると、場面緘黙を克服することができたのだと感じます。
Bちゃんにとって、どんな変化があり克服できたのか、なんとなく聞いちゃいけない気がして今まで聞いたことがありませんでした。

いつか我が子の話を相談がてら話せたらいいな。
我が子は場面緘黙症なのか?

我が子が場面緘黙ではないかと思った際、保健師さんにもBちゃんのことを例に話しました。
その後、保健師さんにつなげてもらって言語聴覚士の先生に発達を含めてテスト?をして頂いたこともありましたが、場面緘黙とは特に言われることはありませんでした。
ことばの教室への通級開始のきっかけ
保健師さんや言語聴覚士の先生、園の先生方と成長を見守りながら、「ことば」と「自信」についてのアプローチをする方向で進めていくことになり、ことばの教室へ通級開始。

「なんで出来ないの?話してごらん?」や言い直しをさせたりしない様に気をつけたり、自信を持てるような声かけをするようにしました。
通級を始めて数ヶ月後には、クラスの子と話をする姿を見かけるようになり、先生が一緒に泣いて喜んでくれたことがありました。
まとめ
我が子の場合は、「場面緘黙」とは違ったのかもしれません。
しかし、早くに可能性を相談し、私自身が1人で不安を抱えなかったことは良かったと思っています。
そして、もしかしたら、通級を通して我が子の中で克服したのかも知れないとも思っています。

今でも時々、知らない人に対してフリーズすることもありますが、前とは違う気がします。
自分の対応が正しかったかどうかは今でも分かりませんが、専門家の助けを借りることで、少しずつ前進できたと感じています。心配したままだったら、私自身が神経質になって悪影響になっていたと思います。同じように悩んでいる親御さんも、ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを活用することをお勧めします。お子さんの成長を見守りながら、共に乗り越えていきましょう。
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